心に残る一言

山つつじは、四月から五月にかけて、綺麗な花を咲かせます。
私たちは、花が咲いていると「綺麗な花が咲いているなあ」と感動しますが、山つつじが花を咲かせるまでのことに、思いを向ける人は、あまりいません。
山つつじは、長い冬の間、重く冷たい雪の下で、用意をしていたのです。春の到来を信じて、花の用意をしていたのです。
ですから、咲いているのは今だが、いま咲いたのではないのです。
私たちの人生もそれと同じで、「いま、ここ」で起こっていることは、「いま、ここ」で起こっているのだけれど、「いま、ここ」で起こったのではないのです。そのことが起こるまでに、多くの用意をしていたはずなのです。
ここで、一つの思いが湧きました。用意をしたのは、私だけなのだろうかと。ある結果を求めて一生懸命努力することは、必要ですし、とても大切なことです。けれど、私の努力だけでなく、私の努力を支えてくれた多くの「お蔭さま」もあったはずなのです。
『「いま、ここ」で結果という花が咲いているのは、私の努力とともに、どれだけ多くの「お蔭さま」があったか、そのことを忘れてはいけないよ』
と仏さまは、喚びかけてくださっています。仏さまに喚び覚まされながら、大切なことを忘れず、この人生を歩んでいきたいものです。
合掌

龍谷大学非常勤講師 小池 秀章