心に残る一言

SMAPというグループの代表的な歌に、「世界に一つだけの花」(作詞・作曲槇原敬之)があります。その中の「ナンバーワンにならなくてもいいもともと特別なオンリーワン」という歌詞が、心に響きます。他の人と比べて一番優れた存在(「ナンバーワン」)にならなくてもいい、もともと一人ひとりが、かけがえのない大切な存在(「オンリーワン」)だというのです。
実は、このことを、今から約二五〇〇年前に、お釈迦さまが言われているのです。お釈迦さまは、生まれるとすぐ七歩あるいて、天と地を指さし、「天上天下唯我独尊(天にも地にもただ我独り尊し)」と宣言されたと伝えられています。この「天上天下唯我独尊」とは、お釈迦さまが、「ナンバーワンだ(自分は他の人と比べて一番優れている)」と言われたのではなく、「オンリーワンだ(みんな天にも地にもたった一つしかない尊いいのちを生きている)」と言われているのです。
「優れたいのち・劣ったいのち」「役に立ついのち・役に立たないいのち」など、知らず知らずのうちに、いのちを分け隔てしている私たちだからこそ、常にお釈迦さまの言葉に、耳を傾けることを忘れないでいたいと思います。
合掌
(※一説には、槇原さんが、お釈迦さまの教えに触れたことがきっかけとなって、この歌ができたといわれています)

龍谷大学非常勤講師 小池 秀章