心に残る一言

「人と人とが分かり合うためには、しっかり向かい合って話をしなければならない」
これは、決して間違いではありませんが、必ずしもそうとも言えない場合もあるように思います。
『星の王子さま』の著者として有名なサン・テグジユペリは、
「愛する―それはお互いに見つめ合うことではなくて、いっしょに同じ方向を見つめることである」
という言葉を残しています。
この言葉から、愛に限らず、共に生きていくうえで、同じ方向を見つめることが大切だということに気づかされました。
向かい合っている時よりも、一緒に何かの活動をしている時、つまり、一緒に同じ方向を見つめている時の方が、一つになれるような気がします。
私たちは、みんな一緒に、仏さまに向かって手を合わせます。共に同じ方向を見つめ、同じ仏さまを尊い方であると仰いで生きています。私もあなたも、みんな仏さまのお慈悲の心に包まれている存在だという共感の中で、少しずつではあるけれど、みんなが一つになれる方向へと、歩ませていただけるようになるのです。
みんなで仏さまの方向を見つめることを、大切にしたいと思います。
合掌

龍谷大学非常勤講師 小池 秀章