心に残る一言

仏さまは、善いことをしている人も、悪いことをしている人も、平等に慈しんでくださいます。また、私が、善いことをしている時も、悪いことをしている時も、見捨てることなく、いつも見守っていてくださいます。
では、仏さまは、悪いことをしても、それでいいと言われるのでしょうか。そんなことが、あるはずはありません。当然、悪いことをやめるよう願っておられます。しかし、悪いことをやめようと思っても、悪いことをしてしまうこともあるのが、私たちなのです。
ですから、仏さまは、悪い行いは悪いと否定されますが、悪い行いをした人を、「お前はどこかへ行け。生きていても仕方がない」と、その存在を否定したりはされません。
それに対して、私たちは、悪いことをした人を、その存在ごと否定してしまっているのではないでしょうか。
子どもは、誰かが気に入らないことをすると、すぐに、「死ね」という言葉を使います。子どもは軽い気持ちで、その言葉を使っているのかもしれませんが、その言葉を聞くと、とても悲しくなります。「死ね」という言葉は、存在を否定する言葉だからです。
「悪い行いは否定しても、存在は否定しない」
この言葉を忘れずに、生きていきたいものです。
合掌

龍谷大学非常勤講師 小池 秀章