心に残る一言

今日の朝、目が覚めた時、どんな気持ちでしたか?さわやかな気分で目が覚めましたか、それとも、眠いなあという気持ちで起きましたか?
お坊さんであり小学校の先生をされていた東井義雄さんが、「目がさめてみたら」という詩を書かれています。その詩は、「目がさめてみたら 生きていた 死なずに 生きていた」という言葉から始まります。生きているのが当たり前だと思っている私たちは、おかしな詩だと感じるかもしれませんが、東井義雄さんは、目が覚めた時、「生きていた!」と感動したのです。
続いて、「生きるための 一切の努力をなげすてて 眠りこけていたわたしであったのに 目がさめてみたら 生きていた」と続きます。「寝ている間、心臓を動かすのを忘れないようにしよう」とか、「呼吸をするのを忘れないようにしよう」などと思って寝る人はいないでしょう。生きるための努力を何もせずに寝たのに、目が覚めてみたら、生きていたのです。
そして、「劫初以来 一度もなかった まっさらな朝のどまんなかに 生きていた」と続き、最後は、「いや 生かされていた」という言葉で締めくくられます。
仏さまは私たちに、「生きているのは当たり前ではない。多くのものに生かされているのだ」ということを教えてくださいます。明日の朝、目が覚めた時、この詩を思い出してみてください。
(※却とは、インドの時間の単位で、極めて長い時間のこと)
合掌

龍谷大学非常勤講師 小池 秀章