おはなし

2019年04月のおはなし

ジャータカのえほん① うずらとあみ②

文:豊原大成 絵:小西恒光 出版:自照社出版

うずらとりのおとこは、かんがえました。
「いま、うずらたちは、みんななかよしだ。しかし、そのうちに、けんかをはじめるにちがいない。」
おとこがかんがえたとおり、なん日かのちに、一羽のうずらがえさをひろおうとして、ほかのうずらの頭をふんでしまいました。
ふんだほうのうずらは「ごめん、ごめん」とあやまりましたが、ふまれたほうのうずらはゆるしません。とうとう、けんかになってしまいました。
おしゃかさまのうずらは、「けんかをしていると、しあわせがにげて、くるしみがやってくる。みんなあみにつかまって、死んでしまうかもしれない」としんぱいしました。
四、五日のち、おとこはうずらのこえのまねをし、うずらたちがたくさんあつまったところへあみをなげました。
あみの下になったうずらたちの中の一羽が、となりのうずらにいいました。
「きみがうごいたので、ぼくの頭の毛がぬけた。あみは、きみがもちあげろ。」
となりのうずらがいいかえしました。
「ぼくは羽の毛がぬけた。きみがあみをもちあげろ。」
いいあっているうちに、うずらたちは一羽のこらず、とらえられてしまいました。
おしゃかさまのうずらは、あみの下にはいませんでした。