おはなし

2019年09月のおはなし

ジャータカのえほん① なまけものの子じか

文:豊原大成 絵:小西恒光 出版:自照社出版

むかしむかし、おしゃかさまはかしこいおすのしかとしてお生まれになり、森の中にすんでいました。
ある日のことです。
おねえさんのしかが子じかをつれてきていいました。
「これはわたしの子どもです。しかが、しっていなければならないたいせつなことを、この子にいろいろおしえてやってください」。
おすのしかは「よろこんで」といってひきうけ、「あすからまいにちべんきょうしようね」と、子じかとやくそくしました。
ところが、子じかはあくる日のやくそくのじかんにおすのしかのところにきませんでした。
つぎの日も、そのつぎの日も、またそのつぎの日も子じかはべんきょうにいかずに、まいにちあそびまわっていました。
そして八日め、子じかは森の中にしかけてあったわなにかかってしまったのです。
りょうしは、なまけものの子じかをころして、その肉をたべてしまいました。
子じかのおかあさんは「どうしてあの子にたいせつなことをおしえてくれなかったのですか」と、なきながらおすのしかにいいました。
おすのしかはかなしそうにこたえました。
「あの子はべんきょうにこなかったのですよ」。