心に残る一言

「あなたは今、迷っていますか?」
と問われて、
「はい、迷っています」
と答える人は、あまりいないと思います。あるとすれば、「今晩、何を食べようか迷っている」とか、「今後、どうしようか迷っている」などの「迷い」であって、それは、「心が一つに定まらず、なかなか決断できない状態」にあるといっているのでしょう。
仏教でいう「迷い」とは、それとは違い、「正しく物事を見ることができていない状態」をいいます。「私が見たから間違いない」とよく言いますが、私が見たから間違うのです。私が見ると、必ず、自己中心的に物事を見てしまいます。
例えば、人を見た時は、「いい人・悪い人」「好きな人・嫌いな人」と自分の都合によって分け隔てをして、他の人を傷つけているのです。
では、どうしたら、自分が迷っている(正しく物事を見ることができていない)ということに気づくことができるのでしょうか。それは、正しいものの見方に触れるしかありません。つまり、真実に目覚めた方(仏さま)の教えに触れることによって、自らの迷いに気づかされるのです。
常に仏さまの教えに触れ、自分自身のあり方について、振り返ることを忘れないでいたいものです。
合掌

龍谷大学非常勤講師 小池 秀章